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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 18.メドゥーサ ⑭

「…あの子、他の異能力者の異能力も使えるの?」
わたしがふと耀平に尋ねると、彼はあぁと返す。
「奴は他人の記憶を自分のものにできるから、他人の異能力も自分のものにできるんだよ」
お陰で何人も奴の餌食になった、と耀平は呟く。
「うふふ、これで分かったわ」
ヴァンピレスは暫くの後そう言ってにんまりと笑みを浮かべる。
「あの子の名前は謝花 メイ」
異能力が発現間近なのね、とヴァンピレスはこぼす。
「しかも随分強力な異能力者みたいね」
これは欲しくなるわ、と彼女は笑う。
「まさかアンタ…」
ネクロマンサーが思わずそう言うと、ヴァンピレスはうふふふふと答える。
「今度会った時は奪ってしまうのも一興、かしらね」
ふふふふと言いながら、彼女はわたし達に背を向ける。
「ちょっ、アンタ‼」
ネクロマンサーがそう叫んでヴァンピレスを呼び留めようとする。
しかしヴァンピレスはそれじゃ、ご機嫌ようと言い残して姿を消した。
「…」
暗くなった路地裏に、わたし達だけが取り残された。

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