1

視える世界を超えて エピソード2:鎌鼬 その③

「明後日の土曜日、空いてるかい? いつでも良い、またこの場所に来ておくれ。出会えたら君にも手伝ってもらうとしようかな」
種枚さんは別れる直前そう言った。
そして、今日がその土曜日だ。
「やァ君、本当に来てくれるとは嬉しいよ」
午前8時頃、あの場所に到着すると、数秒も待たないうちに種枚さんの声が背後から投げかけられた。
振り返ってみたけれど、彼女の姿はそこには無い。
「しかし随分と来るのが早かったじゃないか」
また背後から声が。自分の振り向く動きに合わせてまた回り込んだのだろうか。
「……ありゃ、せっかく前に出てきてあげようと思ったのに」
違ったみたいだ。改めて自分の前に種枚さんが現れる。
「さてあらためて。本当に来てくれてありがとうね」
「あ、はい。それは良いんですけど、人探しって急ぎじゃなかったんですか?」
「あー、良いの良いの。どうせアイツ、私が探そうとして見つかるような奴じゃないし」
探して見つからない人を探そうとしていたのか……。
「それで君にやってほしいことなんだけど」
「あっはい」
「君には囮になってもらうよ」

  • 視える世界を超えて
  • 人を探す奴の姿勢か? これが……
  • 種枚さん怖いんだもんな―
レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。