2

月の魔女【1】中編

「そ、そんなこと言われてもなぁ…」
ヴィオラは戸惑いながら周りを見回した。手前のケージの、真っ白でふわふわな毛玉になんとなく目を惹かれ、そっとケージを開けてみる。
「失礼しまーす…」
毛玉が震えたかと思うと、ぴょこんと長い耳が生え、くりっとした赤い瞳が現れた。
「わっ兎さんだ可愛いね!私ヴィオラ!君は?」
初対面なのにグイグイきたヴィオラに、兎は鼻を素早くひくひくさせて近づいた。
「びおら?」
「ヴィオラ」
「び?」「ヴィ」
そんな風に暫く他愛のない話をしながら他のゲージの様子も見た。兎の名は日本語で、『柊』というらしい。一人称が自分の名前だった。また、話している内にヴィオラは自分が3年前にニトに拾われたこと、それから一ヶ月くらい前まで寝たきりだったことを思い出した。
「…あれ?このケージってもともと動物いないの?」
「ここは…ひいらぎのおともだちのおおかみがおったよ?」
「お友達…」
ケージには爪痕がついていた。
To be continued…

  • 上中下にすれば良かったのに
  • 投稿間空いてしまった
  • レス歓迎
レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。