2

廻るは因果、故に舞い散る桜の刃 三

光は、妖怪である。
しかし、あまりにも動物霊と勘違いされる為らしい、自己紹介の際には必ず動物霊では無い旨を伝える。
最も、その手の相手に対してのみ、だが。
桜音は洗面所へ向かい、顔を洗う。
彼女の頬には、くっきりと痣が刻まれていた。
鏡に向かって溜め息を吐き、棚から化粧品を取り出し、器用に痣を隠していった。
そして。
包帯を右目に巻き始めた。
彼女の右目は白く、視力が無い、有ったとしても弱いであろう事が解る。
光曰く、生まれた時は藤色だったらしいが、その後のごたごたで駄目になってしまったそうだ。

「おーい、姐さんが呼んでるけど、来られるかい?」

縁側から桜音を呼ぶ声がした。
光の声だ。
桜音は寝巻きの上からパーカーを羽織り、縁側へ向かった。

  • 小説
  • クリスマス小説祭前夜祭迄あと四日
  • クリスマス小説祭迄あと五日
レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。