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視える世界を超えて エピソード3:人怖 その②

「しかし、最近よく会いますね」
「そうだねェ」
歩きながら、種枚さんと言葉を交わす。実際、鎌鼬くんの件から2週間くらいか、ほぼ毎日彼女と会っていたり、姿を見たりしている気がする。
「まあ、君のことはそれなりに目ェ掛けてるからねェ」
「えっ」
「だって君、君は霊感こそ持たないが、霊視の才自体はほぼ先天のものだろう?」
「まあはい。物心ついた頃にはもう見えるようになってましたね」
「だろ? 君には素養があるんだ」
「はぁ……」
種枚さんは道端に立っていた不気味な雰囲気の女性の霊を締め上げながら、自分に笑いかけてきた。その手にあるモノさえなければ、もう少し魅力的にも見えるだろうに。

「ああそういえば」
ふと、本当に何の脈絡も無く、図書館で読んでいた本について気になったことがあったのを思い出した。
「どうしたィ?」
「図書館で読んでた本の中に、結構、何て言うんでしょう……所謂『ヒトコワ』? みたいな話がそれなりにあったんですよね」
「…………ほう」
種枚さんの足が止まる。
「種枚さん?」
「……ん、ああ続けて?」
消滅し始めていた霊体を投げ捨てながら答える種枚さん。
「あっはい。あの手の話って、割と『結局一番怖いのは生きた人間』ってオチが多くt」
顔のすぐ横を何かが高速で通り抜け、自分の言葉は遮られた。

  • 視える世界を超えて
  • 才能のある子は好きな種枚さん
  • やらかしたな……
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