「そーしーてェ……」
今度は大きく振りかぶってから、右手を振り抜いた。すると一瞬の後、幽霊が弾け飛んで消滅した。
「こうよ。全力の殺意ぶち込めば、小さい幽霊くらいなら殺せるし、できないまでも動きを止めるくらいはできる」
「は、はぁ……」
「君は精神もタフな方だし、多分モノにできると思うよ。『おれのほうがつよい!』って気持ちがカギだぜィ?」
「なるほど……?」
上手く理解できてはいないが、完全に飲み込む前に種枚さんに手を引かれて立ち上がった。
「それじゃ、早速特訓に行こうじゃないか」
「はい……しかし特訓とは?」
「私に向けて殺意を発してみるんだよ。流石に適当な霊体を実験台にして敵対されるのはマズいからね」
『おれのほうがつよい』って気持ちが重要と言いながら、どう考えても自分より強い彼女に、どう殺意を向けろと言うんだろうか。
結局この日は日没の直前まで、彼女と特訓することになった。