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fate destroyer

5 先生

その集落で約8年間を過ごし、俺は16になっていた。
貴族の家にいた事はおろか、自分の出自すら忘れかけていた。
先生、助けてくれた老人はとても優しかったが、とても強かった。
先生は俺が14の頃に亡くなった。
先生は亡くなる前日に言った。

「善いか。儂はお前を実の息子同然に思っているし、此処の者達も大切な仲間だと思っているだろう。でも、此処が危うくなったら、直ぐに儂等を捨てて逃げろ。どんなにお前を大切にしていたとしても、この部族の者でない事は変わらん。故に、此の部族の問題に巻き込みたくない。巻き込んだ挙句死なせたとあれば、儂等は、ずっとその事を背負って生きねばならん。だから、何かあれば、遠慮なく逃げろ。善いな。」

その時は、柄にも無い事を言うなぁ、たしか思わなかった。
しかし、これが先生の遺言になった。

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