苦しい。ずっと1人のように、縋り付けるものが何もないように感じました。藤澤先生の優しいピアノの音色はときに尖った不協和音へと変わり、大森先生の声も叫んでいるかのように聴こえ、若井先生のギターは彷徨い続けるように同じ音を繰り返す。でも最後には仕方がないと諦めをつけるように規則性のある力強いドラムの音が拍を刻む、その後ろで迷い続けるギターの音が少し聴こえてくるところが大森先生らしくて。歌詞を見ると自問自答を繰り返すなかで、自分の中の1つの終着点を見つけたように感じられました。「抱きしめる」から始まるフレーズが対比されていたり、同じ響きの言葉が繰り返されたり、大森先生らしく言葉を美しく操っているなと思いました。「乱した呼吸を整えて ほら」の歌い方…これを聴いて苦しくならない人はいません。さすが大森先生だなとここでも感じました。ナハトムジーク、積み上げてきた凄まじい努力で確立された技術力とそれが支える高い表現力とが光る曲でした。