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CHILDish Monstrum:カミグライ・レジスタンス その⑪

少しずつ意識が薄れてきた頃、遠くから私に向けて声がかけられた。
「おい、そこの化け物! お前、ベヒモスだろ!」
そちらに目だけを向けると、相変わらず拘束具まみれのままのフェンリルが立っていた。
「やっぱりそうだな、やけに大人しいと思ってたんだ。お前の性格っぽい。ちょっと待ってろすぐ片付ける」
「っ……!」
建物だけは巻き込まないでくれ、そう言う前に彼は片手を振るった。その余波で、周りにいたインバーダ達は塵と化した。
「…………⁉」
今起きた状況に驚愕しながらも、人型に戻る。身体の至る所に鈍痛や痣、切り傷が残っていた。
「その建物、守ってたんだろ? 流石に壊さねえだけの良識はあるさ」
駆け寄ってきたフェンリルはそう言いながら、民間人が入っていったあの建物を指した。
「……そうだ、あの人たち!」
無事だろうか、中で崩落でも起きていないだろうか、そう思って、急いで中に入る。
痛む身体に鞭打ち、中に入っていくと、奥の方であの人たちは一塊で蹲って震えていた。どうやら怪我などは無いみたいだ。
「大丈夫ですか、皆さん! 外のインバーダはもう倒しました!」
民間人の1人が顔を上げる。セーラー服姿の女の子だった。中学生だろうか、高校生だろうか。
そんなことより、彼女は目に見えて怯えた表情で私を見返していたのだ。
「……皆さん今のうちに外へ、早くここを離れ……」
彼女の表情は気にしないようにしながら言おうとして、建物の奥、民間人たちの死角から、1体のインバーダが迫っていることに気付いた。大きな蜥蜴のような姿のインバーダが、音も無く壁を這い、みんなに迫っている。

  • CHILDish Monstrum
  • しんどいのにまた試練だよ、辛いね
  • フェンリルは意外と気遣いで器用な子です
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