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CHILDish Monstrum:カミグライ・レジスタンス その⑬

次に目覚めたのは、あの地上と地下隔離施設を繋ぐエレベータの中だった。周りを見回してみると、怪物態のデーモンが私を肩に担いでいる。
「デーモン、ありがとう」
「気にしないでよ、フェンリルの頼みだ。彼がやると君、死んじゃうからねぇ」
「……そういえばフェンリル、さっきも言ってたけどどういう能力なの?」
「あ? 俺の能力か。『行動全てが破壊に変換される』、そういう能力。手足を軽く曲げるだけでも、呼吸をするだけでも、心臓が打つそれだけでも、全部周りをぶっ壊す。耐久力も硬度も全部無視してな。そういう能力。頑張れば止めておくこともできるんだけどな」
彼が言い終わった辺りで、エレベータが地下に到着した。そこから出て、スレイプニルが向かったあの地下空洞の方を見る。2体の馬のインバーダはどちらも舌を出して地面に倒れていて、代わりに8本脚の灰色の馬が立っていた。灰色と言っても、まるで光り輝くような艶やかな毛並みで、灰というより銀って感じだ。
「よ、スレイプニル。どうだった?」
「楽しかった」
言いながら、その馬はスレイプニル(人型)に戻った。
「ベヒモス。戦いの感想は?」
「……今回は周りに普通の人も居たから、みんなを守らなきゃって思って、最初より頑張れた。……みんなを守れてよかったと思う」
「そう。それじゃ、これからも人間を守るために戦い続けたい?」
「いや」
驚くほど即答できた。
「ずっと精神擦り減りっぱなしだったし、身体痛いししんどいし、もうやりたくない。……ああ、スレイプニル」
「何?」
「私、外に出てやりたい事決まった」

  • CHILDish Monstrum
  • そういう能力。
  • フェンリルは常に気を張ってる
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