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迷兎造物茶会 Act 14

「それに、あなたがそんなことをしたら蛍が悲しむわ」
ピスケスのその言葉に夏緒は静かにうなだれる。
振り上げた拳も、自然と下ろされていった。
「…」
女は暫く夏緒たちに冷たい目を向けていたが、その様子を見たピスケスは組んでいた腕を解いた。
「娘さんを大事にね」
蛍のお母さん、とピスケスは微笑む。
「蛍も元気でね」
また会いましょうとピスケスは蛍に優しい目を向けた。
「うん、ばいばいみんな」
また会おうね〜と蛍は手を振る。
女はなんとも言えない表情をしていたが、やがて蛍の腕を掴むとツカツカと去っていった。
「…」
その場に残された6人の間に沈黙が流れる。
「これで、よかったのかな」
露夏が思わず呟くと、ピスケスはそうねぇとこぼす。
「他人の親子関係は私たち人工精霊がどうこうできるものじゃないわ」
魔術を使った所で、私たちの存在が危うくなるだけだしとピスケスはまた腕を組んだ。
「そりゃそうだ」
魔術は歴史的にも秘匿されるべきものだからな、とナツィは服のポケットに手を突っ込んで言う。

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