「こんなことで一般人に知られてはならない」
ナツィがそう言うと、こ、こんなことって…と露夏は呆れる。
「ま、バレたらバレたで大変な目に会うのはお前らとその“家族”だからな」
“家族”を大事にしてるんなら、ちゃんとそこも意識しろとナツィは露夏に目を向けた。
「…」
露夏はつい黙り込む。
「ま、分かったんならいいんだよ」
戻るぞ、とナツィは公園の方へ引き返す。
「あ、待ってナツィ」
キヲンは慌ててその後を追う。
かすみも静かに歩き出す。
「行くわよ露夏」
夏緒ちゃんも一緒に、とピスケスは呟いた。
「…あぁ」
露夏はそう言って夏緒、と夏緒の方を見る。
夏緒は不安げな顔をしつつ顔を上げる。
「行こう」
露夏が優しくそう言うと、夏緒はうん、と少し笑顔を見せた。
そして露夏は夏緒の手を取ると、静かに歩き出した。
〈迷兎造物茶会 おわり〉