「まあ良いや。朝ごはん食べるから外で待ってて。作業場には入らないでね、蒸し死んじゃうから」
キュクロプスに言われて、ひとまず小屋の前で待機することにする。
手帳の内容を復習しながら待つことおよそ30分。扉が僅かに開き、キュクロプスが顔だけを覗かせてきた。
周囲に注意を払うキュクロプスと目が合う。
「いた」
「やあ」
キュクロプスが屋外に出てきた。そのまま丘陵を下り、麓の村落の方へ歩いて行く。とりあえず後をついて行くことにする。
道中、私は手帳に書いたとある項を思い返していた。
・散歩には、手も口も出さないこと
・散歩には、必ず同行すること
黙ってついて行け、か。たしかに過干渉はストレスになるだろうが、モンストルムはあんな外見でいても所詮は“兵器”だ。手出しすらしてはいけないというのは奇妙な……。
考えながら歩いていると、いつの間にか村落に到着していた。
既に活動を開始していた島民たちは、キュクロプスの姿を見ると親し気に近寄っていって挨拶を交わしていた。意外にも、キュクロプスはこの島ではかなり親しまれているらしい。
キュクロプスは島民の1人と随分話し込んでいて時間がかかりそうだったので、近くにいた別の島民に話を聞くことにした。