「…」
わたしはつい黙りこくってしまったが、ネロのおいという声で我に返る。
「アイツ誰?」
怪訝そうに尋ねるネロに、わたしはあ、えーと…と答える。
「何か、さっき話しかけてきた子なんだけど」
わたしの言葉にふーんとネロは答えると、ま、行こうとネロは元来た方へ歩き出す。
耀平達もネロに続く。
わたしは、何だったんだろう、あの子と思いながら彼らの後を追った。
不思議な少女に出会ってから暫く。
わたし達はいつものように商店街の裏路地を歩いていた。
目的地は普段と変わらずあの駄菓子屋だ。
ネロ達はいつも通り他愛もない会話を繰り広げているが、わたしだけは少し違った。
さっき出会ったあの少女…穂積の事が頭から離れないのだ。