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将棋造物昼下 前

住宅地のちょっとした屋敷の片隅にある客間にて。
小綺麗な客間で、1人赤髪で赤いスタジャンを着たコドモがベッドに座りつつ古いゲーム機をいじっている。
昔ながらの電子音を鳴らしながら熱心に遊ぶコドモの頭には、犬のような立ち耳が生えていた。
…と、ここで客間の扉が開いて中に青い長髪で白ワンピースのコドモが小箱の乗った箱型の何かを抱えて入ってくる。
赤髪のコドモはパッと顔を上げた。
「?」
どうしたピスケスと赤髪のコドモこと露夏は尋ねる。
青髪のコドモことピスケスはちょっとねと荷物を床に置いた。
「何これ」
露夏は思わず手を止めて身を乗り出す。
「将棋セットよ」
ピスケスがそう言うと、露夏はへーと答える。
「将棋かー」
これが本物の…と露夏は立派な箱型の将棋盤を手で撫でる。
「あら、お前本物の将棋を見るのは初めて?」
ピスケスが不思議そうに尋ねると、露夏はまぁなと笑う。
「昔はずっと家に閉じ込められてたようなもんだからさ」
家の中にないものはよく知らなくてな、と露夏は続ける。
ピスケスはふーんと頷いた。
「…で、なんでこんなモン持ってきたんだ⁇」
お前将棋するの?と露夏はピスケスに聞く。
ピスケスは別にと首を横に振る。
「ただ物置を漁ってたら出てきただけよ」
ピスケスがそう言いつつ将棋盤の上に乗っている小箱を開ける。
中にはたくさんの駒が入っていた。

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