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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 19.チョウフウ ⑦

「…」
黎がわたしの事を気にする事もあるんだな、わたしが心の中でそう呟きながらふと上を見上げる。
路地裏は中途半端な高さの建物が所狭しと並んでおり、その上には秋空が広がっている。
しかしわたしはある事に気付いた。
「?」
わたし達が通り過ぎた方を見ると、4階建ての建物の屋上に人影が見える。
よく目を凝らすと、それはさっき出会った穂積のようにも見えてきた。
「…え」
わたしが思わずそう呟いた時、うっふふふふふふと聞き覚えのある高笑いが聞こえてきた。
皆がハッとして辺りを見回すと、さっきまで誰もいなかった進行方向にツインテールで白ワンピースの赤黒く光る目を持った少女が立っていた。
「ご機嫌よう、皆さん」
先週ぶりね、と少女は笑う。
「ヴァンピレス‼」
アンタ、今度は何の用だ‼とネロがどこからともなく黒い大鎌を出しながら怒鳴る。

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