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少年少女色彩都市 Act 13

リボンの端がちぎれ始めている。
「あっ…う」
叶絵は唸った。初めての、唐突に始まった戦闘なので戸惑っているのは勿論、正直目の前のエベルソルが怖い。しかし、リボンがちぎれるまでそう時間はない。
「蛾…蛾って、なにが苦手なの…」
そうだ…鳥、鳥なら!土壇場で思いついた。さっき少女を描いたとき、自分が描いた範囲しか反映されないことは学んでいる。ガラスペンを握り直した叶絵が鷲を描き始めたところで、エベルソルがリボンをちぎった。叶絵へ一直線に突進してくる。
「っ…!」
叶絵は半泣きになりながら急いで鷲を描いた。雑にならないように、急いでるからこそ丁寧に。
「おお」
薄紫色の少女が感嘆の声を漏らした。描き上げられた真っ黒な鷲は、突っ込んできたエベルソルを自分から捕まえに行き、爪で翅を押さえこむ。
「あ…あれ、鷲って…蛾食べるのかな…」
叶絵の呟きに、鷲が反応する。暴れるエベルソルを踏み潰して押さえながら叶絵を見つめた。
「あ…え、あの…食べてくれると嬉しいなー…」
戸惑いながら叶絵がそう言うと、鷲はエベルソルを頭と思われる場所から咥え__そのままごくりと飲み込んでしまった。

  • 意思疎通できる使い魔(?)
  • 思ってることが口に出る叶絵
  • 次は何かが崩壊している者さん
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