神様と並んで、すっかり廃村といった様子の集落跡地を駆け抜ける。
もう誰もいない個人商店の前を通り過ぎようとしたとき、その建物が弾けるように吹き飛んだ。咄嗟に半壊した民家の陰に飛び込んだけど、そこも爆散する。
「オォイオイ狙われてンぜェ? きっとさっき撃ってきたヤツだなァ」
神様は楽しそうに言いながらうごうごしている。こんな調子だけど私を庇うように立っているのには、まあ感謝の気持ちが無いわけでは無い。
「今の2発、位置を変えて撃ってきましたよね」
「だなァ。なかなか足が早いぜ。オマケにあの貫通力だ。…………ナァ我が神僕よ、ちょっとカッコイイやつ思い付いたンだけどよォ……やってみネ?」
「……何です?」
また近くの民家が弾け飛ぶ。あまり考えている余裕は無さそうだ。
「やりましょう」
「ヨシ来た」
神様が口と思われる顔の裂け目をニタリと歪め、一瞬全身を震わせてから液状化して地面に広がった。
「っ⁉ 神様⁉」
泥状の神様がうねうねと蠢く。どうやら生きてはいるらしい。そして神様の泥が、私の脚を伝って全身を包み込んだ。
(どォーおよコレェ? 神様の鎧だゼェ)
頭を包む泥の中で、神様の声が反響する。
「どろどろしてちょっと気持ち悪いです」
(フム……ソコはまあ、順番に改善していこーヤ)
泥の鎧が硬質化して、どろどろした不快感は無くなった。
(……しッかし我が神僕よ、オメー本ッ当に小柄だよなァ。身体が結構残った。マア、有効活用しようや)
「はい?」
足下にまだ残っていた泥溜まりが高速で伸び上がり、空中で何かを掴んだ。