その後わたし達は路地裏を逃げ回った。
何とかして大通りに出ようとするが、その度にヴァンピレスに邪魔をされる。
わたし達はそろそろ疲れ始めていた。
「…奴、どれだけおれ達の事を狙ってんだ」
路地の片隅に座り込みながら耀平が呟く。
「今回はちょっと執着しすぎだよなぁ」
師郎も呆れ顔で言う。
「とりあえず、どうにか大通りに出られれば奴を撒けるんだけど」
この状況は難しいぞ…と耀平はうなだれる。
そんな中、黎は静かにわたしの方を見ていた。
「どうした黎」
その女がどうかしたのか?と師郎が黎に話しかけると、黎はちらと師郎の方を見る。
「…ちょっと気になる事があって」
黎がそう言うと、師郎は何だい?と促す。
黎は続けた。
「アイツ、さっきから逃げてる時にちょこちょこ上を気にしてたけど」
何でかなって、と黎はわたしを指さしながら言う。
わたしはえ、と返す。
「た、確かに、わたし上を見上げる事はあったけど…」
気付いてたんだとわたしが言うと、黎はこくりとうなずく。