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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 19.チョウフウ ⑫

「それで、何で?」
さっきみたいに上に誰かいるとか?と黎は聞く。
わたしはま、まぁと答える。
実際、わたしはヴァンピレスから逃げている最中に上から視線のようなものを感じていた。
その度に上を見ると、近くの建物の上からあの穂積らしき人影が見えていたのだ。
「知ってる人っぽいのがいたと言うか…」
わたしがそう呟くと、はぁと黎は返す。
「また知ってる奴か」
さっきもそんな事言ってたよな、と耀平はわたしの方を見る。
「結局ソイツは誰なんだよ」
耀平がそう言うのでわたしはこう答える。
「え、だから昼頃に会った穂積だよ」
わたしがそう言うと、耀平は目を丸くする。
「…マジ?」
耀平がそう聞き返すので、わたしはうんとうなずく。
「それがどうかしたの?」
わたしが尋ねると、耀平は下を向いて考え込む。
「耀平?」
わたしがどうしたのだろうと思って彼の名前を呼ぶと、耀平はゆっくりと顔を上げた。

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