「これは……棘?」
油色をした針状の物体が、神様の泥に囚われて空中に止まっていた。
(かもなァー。さっきからブチ込まれてたのは、コイツだったわけだ)
火薬なんかを使うでもなく、こんなただの棘で、あれだけの破壊を発生させていたのか。やっぱり、ヒトならざるモノの仕業なんだろう。
棘を地面に放り捨て、角度からして棘の飛んできたのであろう方向に顔を向ける。
「既に移動しているとは思いますけど」
(アア、行ってみようゼ。痕跡の一つくらい残ってりゃ良いが)
崩れた廃墟の残骸の上に登り、棘の飛んできた方向を向いて大きく身体を沈み込ませる。
(オン? お前、身体の使い方が分かってるみたいじゃネーノ。神様は理解が早い神僕は好きだゼィ)
「そりゃ、さっきからお話の裏で『動かし方』の説明もしてくださってますし……」
(ィよっしゃ、ブッ飛ぶゼー)
足下の残骸を強く蹴り、斜め上前方に跳び上がる。瞬間、また棘に撃たれたけど、神様の泥が変形して受け止めてくれた。
「攻撃確認、角度調整お願いします」
(オウ任せろィ、足場は用意してやる)
神様の泥の余りが、空中で小さな円盤を形成する。そこに着地して、棘の飛んできた方向に向けて再び跳躍する。さっきまで留まっていたあの足場は、棘弾に撃ち砕かれた。
「また角度が変わりましたね」
(アア。だりィなァ……ちなみに、次に棘の来そうな位置なら読めてるが……どうするヨ?)
「当然」
空中に展開された泥の足場に着地して、腰元に手をやる。そこに神様の泥が集まり凝縮して、刀剣の形を取った。