「…穂積」
「今のあたしは蝶野 穂積じゃないわ」
あたしの名前は”チョウフウ”と少女はスカジャンのポケットに手を突っ込む。
「”遠くのモノを拡大して見ることができる”能力の異能力者よ」
チョウフウの言葉に対し。ネクロマンサーはいつの間にか出していた具象体の黒鎌を突き付ける。
「アンタ、ヴァンピレスと関わってるんだってな」
どういう事だ、とネクロマンサーはチョウフウを睨みつける。
「どういう事って…まぁ色々あるのよ」
あなた達が知った事ないわ、と穂積は肩をすくめる。
「何だよソレ」
ネクロマンサーは低い声で言う。
「アンタのせいでボク達困ってんだぞ」
ヴァンピレスに追われる奴の身になってみろ、とネクロマンサーは呟く。
「…そんな事言われても、ねぇ」
あたしもあたしで事情があるのよ、とチョウフウはポケットから手を出し腕を広げる。
「だから事情って何だよ」
ネクロマンサーは一歩前に進み出る。
「そうねぇ…」
チョウフウは考えるように上を見上げる。
…と突然こう言った。