「あ、穂積~」
穂積の元に向かってカラフルなヘアピンで前髪を留めた短髪の少女が近付いてくる。
「何してるの?」
少女が尋ねると、ゆ、雪葉(ゆきば)…と穂積は気まずそうな顔をする。
「…あ、もしかして人様にメーワクかけてる?」
雪葉、と呼ばれた少女はわたし達の方をちらと見るとそう呟く。
「え、え、あー、いや~」
「ダメじゃん穂積」
他の異能力者に迷惑なんて~と雪葉は穂積の腕を掴む。
そしてわたし達の方に向き直った。
「ごめんねー、ウチの穂積が迷惑かけてー」
彼女はそう言うと、ほら行くよと穂積の腕を引いて歩き出す。
穂積はえええと困惑しながら引きずられていった。
「…」
わたし達はポカンとした様子で、その場に取り残された。
〈19.チョウフウ おわり〉