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厄祓い荒正し ep.1:でぃすがいず  その⑤

(角度ヨシ! 振り抜け!)
「はい!」
勢い良く泥の刀剣を振ると、それに従って刀身が勢い良く伸長し、地上の一点、雑木の下を貫いた。
「手応えあり、刺さりました」
(よっしゃ、引けィ!)
「はい!」
刀剣をぐい、と引っ張ると、鉤状に変化した刃が縮みながら、突き刺さった対象を引っ張り上げた。
「…………妖獣? ですかね」
(トゲトゲした鼠……にしちゃあデケエな)
油色の毛皮に身を包み、背中にはさっきまで飛ばしてきていたためか、少し禿げてはいるけれど棘状の体毛が並んでいる、大きめのネズミみたいな生き物が、泥刀の鉤に引っかかっていた。
(体毛を飛ばしていたわけか。にしたってあの速度はブッ飛んでるよなァ)
「気を付けましょう。また撃ってくるかも」
(いやァー……させねーよィ)
泥刀を神様の泥の余剰が伝い、瞬く間に妖獣を覆い尽くしてしまった。
(毛針も抑えた。コレで捕獲完了ってェわけよ)
「……流石神様」
(もっと褒めてくれても良いぜィ? お前は唯一の我が信徒だ。信仰と尊敬はいくらあってもあり過ぎることにはならねェ)
「はいはい。とりあえずコレの処理は後で決めるとして、この辺りに他に厄介な人外はいるでしょうか」
(雑魚の幽霊ならいくらか気配があるが……お前には分からねェのかァ?)
「残念ながら……。私、気配を感じるとかそういうのはあんまり得意じゃなくて」
(マ、追々鍛えていきゃァ良いだろうよ。そら、地上戦に行こうぜ)
「了解です」
神様が泥の足場を解き、私の身体は重力に従って落下していった。

  • 厄祓い荒正し
  • 完結
  • 妖獣の元ネタはタマちゃん
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