「あんまり待たせないでほしいなぁ……そうだ」
青年は長剣を床の上に放り出し、別のものを手に取った。干からびた枯れ枝のようで、先端は4つに分かれ尖った白い何かが貼り付いている。
「これ、この間あなたの同類から貰ってきたんですよ」
「『奪ってきた』の間違いじゃねえか?」
悪魔氏の返事に彼の方を見ると、頭も両脚も既に完全に再生していた。
「もしかしたらそうかも。まあそんなことはどうでも良くって。同類の腕に切り刻まれるのって屈辱的な気分じゃありません?」
「……いやァ? 俺は別にそーいうの気にしないタイプだしなァ」
「そうですか。じゃ、やりますね」
「バッチ来ぉい」
青年はその枯れ枝……悪魔の腕の爪を用いて、悪魔氏の頭、肩、腹、腿、腕と次々斬りつけていった。血飛沫と内臓が悪魔氏の身体から飛び出していくにも拘わらず、悪魔氏は平然として笑っていた。
「ふーむ……天使の武器も駄目。悪魔の爪も駄目」
「ソラお前、首も心臓も丁寧に外すんだからこっちも何の心配も無く受けられらァな」
「どうすれば本性表してくれます?」
「これもまた俺の本性だよ」
「そう言うの良いんで。……けど困ったなぁ…………あ、そうだ」
青年が腕から長剣に持ち替え、こちらに顔を向けた。
「同じ地上に住む者同士、仲良くしておくれ」
彼の考えに気付く前に、長剣の刃が私の首に迫っていた。