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廻るは因果、故に舞い散る桜の刃 十一

「とりあえず大人しくしてて。話は放課後ゆっくり聴くから。」
「はい...。」

あれだけ騒いだ割にあっさり撃沈する葉月。
あくまでも桜音の指示には従うつもりの様だ。

桜音は教室に入ってからも、
気が気でない、という様子だった。

「今日から転校生が来るからな、仲良くする様に!」

担任の言葉に沸き立つクラス。

(今すぐ帰りたい!!!)

あの少女に今日一日付き纏われたとあれば、
注目されるのは確実だ。
目立つ事。
それだけは避けたかった。
「目立つ」それは、今まで桜音が最も忌避してきたものである。
しかし、

「初めまして、成斗市立第3中学校から来ました、
秋山葉月です。宜しくお願いします。」

思わず口が開く程あっさりとした挨拶だった。
口調も、先刻の武士の様な堅い口調から一転、
何処にでも居るであろう「普通の中学生」そのものだった。

「席は...狐灯(ことう)の隣りだな、分からない事あったら聞けよー。」
(隣り⁉︎)

おそらく、側から見てもわかる程驚いた顔をしたのだろう。
担任は苦笑し、
そこしか空いてないからな、と付け加えた。
そこしか空いてない、と言うよりかはそもそも隣りの席など無かった。
桜音の席だけ、長方形に小さな正方形をくっつけた場所の様に孤立していたのだ。

  • 桜音は窓際の1番後ろ
  • 「狐灯」については後ほど
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