向こうから来たのは僕のご主人様、リリィ様!この辺では本当に稀有な四枚羽の天使様で、柔らかい長髪と大きな青い瞳が特徴だ。
「げぇ…」
悪魔は露骨に嫌な顔をする。
「うげえっ」
リリィ様も嫌な顔をする。暫く沈黙する。
「…四枚羽…ここお前ん家かよ…」
「アーサー!?なんでいんのよ!帰れ!」
リリィ様が取り乱している。め、珍しい…。というか、知り合いだったのか。僕はなんか妙に冷静になってしまった。
「嫌だね!つかこいつ、お前の?」
リリィ様にアーサー、と呼ばれた悪魔は僕の肩を抱き寄せてきた。
「所有物みたいに言わないで頂戴!…まあ、私の召使いだけど…」
「ふぅん、片羽を採用したわけか」
「ていうかその子に触らないで?あと私の家で息をしないで。動いたら殴るわよ」
「はぁ?黙れよその口縫うぞ」
「私のような麗しい天使になんてこと言うのよこの二又悪魔!」
「表でろメスゴリラァ!!」
四枚羽のリリィ様と、尻尾が二又のアーサーさんが睨み合っている。ああ、喧嘩になりそう…。