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月の魔術師【9】

ロケットが、ぽーんと浮き上がった。正に玩具のような挙動でロケットは飛んで行く。
「おおお…!すげー!」
ロマはぴょこぴょこ跳ねてはしゃいでいる。
「す…すごい精度…」
ロザリーも感動して丸窓から外を眺めた。
「そろそろ宇宙だね」
ニトの呟きに、斑が尻尾を振って応えた。

暫く勢いよく進んでいたロケットは、ふよふよと宇宙を漂い始めた。ロマも最初こそはしゃいでいたが、途中で疲れたのか斑と戯れ始めた。
「…こ、このロケット本当に速いですね…」
「地球から太陽系の外までなら魔法でギリギリテレポートできますし、速度と衝撃の吸収も補正つけたんです」
「できることなら、精霊も魔法を覚えるべきかもしれませんね」

それから二時間、三時間…と時間が経っていった。ロマと斑は遊び疲れで眠り、ロザリーも丸窓に張り付いたまま寝落ちしてしまった。
「…ふわぁあ……」
久しぶりに大量の魔力を消費したニトも眠くなってきた。どうせ着くまでに時間があるし、ニトも眠ることにした。

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