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逃鷲造物茶会 Act 5

朝、明るい日差しが辺りを照らす頃。
いつものように起きてきたかすみは何気なく喫茶店の物置の扉を開ける。
「グッドモーニーング」
物置の椅子には見覚えのある茶髪の少女が座って、かすみの方に手を振っていた。
「…えっと」
エマ、さん、ですっけとかすみはぎこちなく言う。
「おはようございます」
かすみが思わずそう返すと、もー固いじゃなーいとエマと呼ばれた少女は笑う。
「もっと適当でいいのよ」
おっはーとかさ、とエマは言うがかすみは何とも言えない顔をしていた。
何しろ昨晩急に押しかけて来たこの人物相手に、どうしたらいいのか分からないのだ。
何とも言えない顔になるのは無理はない。
それに、かすみが外の者と関わることはいつも同じような人が出入りする喫茶店の手伝いと、物置に集まる者たちとの交流くらいである。
実を言えば、かすみは外の人間との関わりに慣れていないのだ。
「かすみ?」
かすみが考えごとをしているような顔をしていたので、思わずエマが声をかける。
かすみはハッとしたように顔を上げた。
「なんでもない」
かすみは横に首を振ると、エマはそうと答える。

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