「…お前」
アモンが呟きながら近付くと、サタンは静かに微笑む。
「君を助けてあげる、そう言ったでしょう」
サタンはそう言ってアモンの顔に手を伸ばす。しかしアモンは咄嗟にそれを払った。
「あれぼくのこと嫌い?」
「いやそうじゃなくて」
アモンはそっぽを向きながら呟く。
「…なんか、ありがとう」
恥ずかしそうな顔をするアモンを見てサタンは満足そうに笑った。
「さて」
ぼくもそろそろお暇させて頂こうかなとサタンはくるりとアモンに背を向ける。
「もう1人の“ぼく”がそろそろ起きてくるだろうからね」
そろそろぼくも撤収しなきゃとサタンは伸びをする。
「…お前、何言って」
「あ、ぼくこう見えて二重人格なんだ」
サタンの思わぬ発言にアモンは…は?と驚く。
「ぼくは元天使長“ルシファー”の別人格」
例の反乱を率いてたのはぼくの人格さ、とサタンは笑う。
「…はー」
アモンは呆れたようにため息をついた。その様子を見てサタンはふふふと笑う。
「そういう訳で、またね!」
ぼくの愛しのアモンきゅんとサタンは笑顔で手を振る。その直後、糸が切れたようにサタンは倒れた。