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月の魔術師【10】前編

いつのまに到着していたのか、ロマの騒ぐ声でニトは目を覚ます。例によって低血圧なので、動くことなくゆっくりと瞬きを繰り返した。
「ニトーっ!ついたぞ!」
ロマがニトの太腿を叩いて起こそうとしてくる。
「ああ、うん…わかったわかった…」
しぶしぶ身体を起こして見渡すと、ロザリーがロケット内にいないことに気づく。
「あれ…」

外に出ると、砂嵐がニトとロマを襲った。ロザリーは呆然とまわりを見ている。
「ぅわ」
小さく声をあげたロマに気付いたのか、ロザリーが振り向く。
「ニトさん…」
「ここは、あなたとロマの故郷ですか?」
「ええ…恐らく。こんな、広い砂地はなかったんですが…」
改めてまわりを見てみる。そこにあるのはさらさらとした砂ばかりで、先が見えない。本当にそれだけだった。
「位置的には、ここで間違いないんです」
ロザリーはぽつりと呟いた。
「焼けちゃったんですね、もう」
戦争は既に、ずっと前に終結していたようだ。ロザリーたちの種族が敗戦したであろうことは明らかだった。

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