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月の魔術師【10】後編

三人で暫く星をぶらぶらと歩いた。やはり砂漠が永遠と広がっているだけの景色が続いた。
「…ニト、みずがのみたいぞー」
「はいはい」
ロマは退屈で少しうとうとしている。
「殺風景ですね…」
ロザリーは座りこんだ。ニトも座って呟く。
「…魔術には、禁忌のものがいくつかあります」
「え?」
「呪術、蘇生術…とかいろいろあるんですが」
ニトはふぅ、と息を吐いた。
「土地には、思い出があり…蘇らせることもできます」
「それって…」
「生き物は復活できないけれど…自然や建物なら蘇生ができます」
ニトはロマの柔らかい髪を撫でた。
「ロマ様の記憶、戻るでしょうか」
「試してみましょうか」

ニトは掌を切り、地面の砂を一握り持った。その瞬間、風が止む。
「まほうだ!」
ロザリーは目を見開いた。いつの間にか、足元に枯れかけの草が生えている。その草は、じわじわと活気を取り戻し…。
「わぁ……」
あっという間に、砂漠は鮮やかな草木と清らかな水で満たされた。
「綺麗な星だなぁ」
ニトの呟きは、穏やかな風に流された。

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