「……あなたの仕業か」
目だけをサユリに向け、少女は低く言う。
「だとしたら?」
「まず、あなたから」
倒れた体勢のまま、少女がロケットのようにほぼ水平に飛び出した。サユリは再び地面を揺らしたが、空中にいる少女に影響は無く、一瞬のうちに接近した彼女によって、サユリは両足首を切断されてしまった。
「っ!」
既に切断されている右腕を伸ばすが、透明な体内液が飛び散るばかりで、少女を止めることはできない。
更に踵を返した少女が、心臓目掛けて刺突を放ってくる。サユリは倒れ込みながらも身体を大きく反らしながら躱し、心臓の代わりに左の肩の辺りに刀剣が突き刺さる結果となった。
「……捕まえた!」
右腕の肘を刀を握る少女の腕に絡みつけ、残る左手で肩の辺りを掴み、自身の倒れる勢いも利用して引き倒す。
「は、離せ……ぎッ⁉」
サユリの左手から少女の身体に、強烈な振動が一瞬伝わる。全身へのダメージで一瞬意識が飛び、気付いた時にはサユリを下敷きにうつ伏せに倒れ込み、後頭部を呪術師の男性に抑えられていた。
「ぅぁ……」
「悪い子だ……少し大人しく、してもらおうか!」
男性の手から、呪術的エネルギーが直接注ぎ込まれる。少女は一度大きく痙攣し、脱力しきって動かなくなった。