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逃鷲造物茶会 Act 15

「エマさん、あなた…」
「ざーんねん、わたしの名前はエマじゃないの」
かすみの言葉を遮るようにエマがそう答える。
「わたしは“エマニュエル”」
“放浪の鷲”よとエマことエマニュエルは言う。
「かつてわたしはある魔術師の使い魔だったの」
驚いた顔をするかすみを気にせずエマニュエルは続ける。
「でもその魔術師とわたしは反りが合わなくてね…」
本当に大変だったわ、とエマニュエルは俯く。
「だからわたしは、その魔術師から逃げ出した」
こっそり彼の身体から魔力供給の術式を魔石に移し取って、それを持って逃げ出したのとエマは服のポケットから手のひらサイズの石を取り出しかすみに見せた。
その石は薄橙色の光をぼんやり放っており、その表面には細かい幾何学模様が刻み込まれていた。
「これを持って人間のふりをしながらあちこちを旅し続けたわ」
ざっと200年くらい、とエマニュエルは笑う。
「そうしていつの間にかここに辿り着いてしまったという訳」
手の中の物を服のポケットにしまいながらエマは言う。
かすみはその事実に茫然としていた。

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