0

視える世界を超えて エピソード7:潜龍 その①

ここ1か月くらいだろうか、種枚さんの姿を一度も見ていない。
普段ならこちらから探すまでも無く向こうから絡んでくるのに……そういえば、前にも少しの間種枚さんの姿を見ない時期があったか。
「あっ、師匠のお気に入りの」
大学からの帰り道、すれ違った男子高校生から不意に声をかけられた。その顔を見ると、鎌鼬くんだった。
「あ、鎌鼬くん。そういえば種枚さんって元気にしてる?」
「いやー? 知らないッスね。最後に会ったのは先月の始めです。その時は滅茶苦茶ピンピンしてましたけど」
「そっかー」
「師匠、そっちにも顔見せてないんすか」
「そうなんだよねぇ……」
「……まぁ、あの人割と風来坊みたいな生き方してる人だし、多分どこかで元気にやってるんでしょ」
そうだと良いのだが。
「あ、これは完全に雑談なんですけど」
「うん?」
「週末の『潜龍冬祭り』には行くんです?」

  • 視える世界を超えて
  • 去年の11月ごろ書いてたエピなので……
  • 種枚さんがいねえ!
レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。