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逃鷲造物茶会 Act 16

「あなたがわたしの正体に気付かなかったのはビックリだったけど、これは好都合と思って利用させてもらうことにしたの」
ごめんなさいね、とエマニュエルは謝る。
「でもお世話になるのはこれでおしまい」
エマニュエルはそう言ってかすみに背中を向ける。
「そろそろ失礼させて頂くわ」
「あの!」
エマニュエルの言葉に対してかすみは声を上げる。
「これから、これから、どうするんですか?」
かすみの質問に、エマニュエルはちらと振り向く。
そして微笑みながらこう言った。
「さぁ、先のことは考えていないわ」
でもいいじゃないとエマニュエルは前を向く。
「行き当たりばったりな生き方も」
そう言って、エマニュエルは屋上の柵に上り、その上に立った。
「紅茶、おいしかったわ」
エマニュエルはそう言って振り向く。
かすみはなんと言っていいか分からず困惑するが、エマニュエルは気にせず前を向く。
そして広げた両腕を鷲のような翼に変化させると、思い切り屋上の柵を蹴って飛び立った。
かすみは1人、屋上でその様子を見送った。

〈逃鷲造物茶会 おわり〉

  • 逃鷲造物茶会
  • 造物茶会シリーズ
  • 「造物茶会シリーズ」第7弾につづく
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