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忠犬

ステンドグラスがざわめいた。

古城に、"主"の許可もなく足を踏み入れた愚か者がいるらしい。

背後から短剣を一振り。真っ赤な花弁が床に散る。__ああ、掃除は苦手なのに。

「きゃん!きゃん!」
異常事態に気付いた犬が吠え、威嚇してきた。

既に息のない飼い主の盾となろうとしている。

「…ぁ」
哀れな、と言おうとした。でも、哀れとは少し違う気がした。『哀れ』の意味をちゃんと主から聞いておけば良かった。難しい。頭が痛い。

短剣を振った。また床が汚れて…静かになった。

犬は最期まで飼い主のために牙を剥いていた。

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