「名前を聞いても?」
廊下を歩きながら、少年に尋ねた。
「あ? ……タマモノマエ。これで」
「偽名?」
「通り名といえ」
「リテラシーがつよい」
「そういうお前は何てンだよ」
「…………」
自分だけ本名を明かすというのも何だか癪だ。適当な名前を名乗ることにしよう。とはいっても、何と名乗ったものか……。
スマホを取り出し、検索エンジンで軽く調べ、スマホをまたポケットにしまう。
「フヴェズルング」
少年もといタマモノマエはスマホを取り出し、しばらく何かを調べて、またスマホをしまってこちらに向き直った。
「ロキか」
「うん」
「じゃあロキって呼ぶぞ」
「じゃあタマって呼ぶね」
「タマはやめろ猫っぽい」
「じゃあタマモで」
「なら良し」
再び歩き始める。……そういえば。
「なんでさっきはあの人殺しかけてたの?」
「あー……あれな。あの時は助かったよ、おかげで殺人を犯さずに済んだ」
最近は中学生でスマホを持つのが当たり前なんですよ。
むしろ小学生でスマホを持つ子も最近はかなりいるみたいです。
少なくともぼくが住んでいる都心部ではね(地方へ行ったらもっと話は違うのかもしれない)。