ガガガと音を立て、
今にもぶっ壊れて発火しそうな自動車が、
崩壊したビル群の中を走り抜けて行く。
運転しているのは、10代半ば位の少女。
名前はカナ。
そして助手席には、大きな猫。
名はエミィと言う。
車を運転する少女と猫。
これだけでも充分異様な光景だが、
何より目を引くのは、少女カナの顔である。
物凄い美人、又は不細工、と言う訳ではない。
ただ、左頬に炎の様な跡があるのだ。
そう。ちょうど、火傷でもしたかの様に。
キィ、とブレーキ音を鳴らして、車が止まる。
「ここにしようか。」
カナが呟く。
「うむ」
と答えるエミィ。
カナは車から荷を降ろし、
手早く野営の支度に取り掛かる。