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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 20.エインセル ⑭

「…あ」
不意に雪葉が声を上げたので、わたし達は顔を上げる。
立ち上がる雪葉が目を向けている方を見ると、見慣れない小柄な小学生位の少年がこちらに近付いてきていた。
「榮(えい)」
雪葉はそう言って彼に駆け寄ろうとするが、榮と呼ばれた少年は気まずそうに立ち止まる。
「あれ、どうし…」
雪葉が不思議そうに呟いた時、榮は両目をエメラルドグリーンに光らせた。
「!」
雪葉が驚いたような反応を見せた瞬間、榮の姿は見えなくなった。
そしてわたし達の目の前から走り去るような足音だけが聞こえた。
「エインセル‼」
雪葉はそう叫んで走り出す。
「追うわよ、ネクロマンサーとコマイヌ!」
穂積も立ち上がって走り出す。
「ボクはネロだっつーの!」
ネロは両目を赤紫色に光らせると、同じく両目を光らせた耀平と共に駆け出す。
わたしや黎、師郎もそのあとを追った。

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