「う〜ん...」
バスッ、と言う音とともに、藍色のテントが開く。
カナはそれを地面におろし、
それをハンマーとペグで固定する。
相変わらず、周りは異様な程静かで、ペグをハンマーで打つ音のみが響いていた。
何故、年端もいかない少女が、
崩壊したビル群の中で野営をしているのか。
理由は1つ。
数年前、世界は崩壊した。
戦争によって。
争いに発展した訳は至って簡単、資源の不足。
資源の奪い合いが激化した結果、机上に収まらなくなった、ということである。
様々な兵器の登場、民間人への無差別攻撃。
平和条約、その他諸々のルールは
意味を成さなくなった。
食糧難、治安の悪化、戦災孤児の増加。
そんなこんなで紆余曲折あり、呆気なく世界は崩壊した。
こんなに簡単に崩壊するものだとは、誰も思っていなかっただろう。
いつか戦争が終わって、いつかいつも通りの日常がかえってくる。
そう、信じて疑わなかった筈だ。
世界の崩壊。
言ってしまえば、原始時代に戻った様なものである。