とある土曜日の朝、青年潜龍が神社の境内を清掃していると、背後から砂利を強く叩くような音が聞こえてきた。そちらに振り向くと、1本の矢が地面に突き刺さっている。
その矢の中間あたりには、紙が細く折り畳まれ結ばれていた。
『果たし状
某月某日金曜日17時
市民センター1階会議室にて待つ。
“鬼子”種枚』
「……果たし状だと? にしては随分と平和的な場所に呼ぶじゃないか」
悪縁とはいえ決して短くは無い付き合い。目的が『果たし合い』でないことは容易に想像がつく。潜龍は矢文を再び畳んで懐にしまい、清掃作業に戻った。
(……まあ、念のためにいくらか『道具』は持っていくか)