0

鉄路の魔女 〜Megalopolitan Witches. Act 1

人々が行き交う大きな駅舎の中、改札前の片隅で華やかな衣装に身を包んだ少女が3人、誰かを待つように立っている。
1人は短い銀髪でストリート系の袖なしジャケットを着て腕を組んでいる。
もう1人は背が高く、長い空色の髪を高い位置で束ねて銀と青のジャケットとスラックスを着こなしている。
そして最後の1人は背が低く、長い緑髪に和服と洋服の中間のような服を着て、濃い緑の羽織を羽織っていた。
少女たちはかなり目立つ格好をしていたが、改札を行き交う人々は彼女らには一切目もくれず通り過ぎていく。
「“スカーレット”姉さま、遅いね」
ふと緑髪の少女が空色の髪の少女に目を向けると、空色の髪の少女はそうだねと頷く。
「…別に、アイツが中々来ないのはいつものことだろ」
どうせどこかで寄り道してんだよ、と銀髪の少女は後頭部に両手を回す。
「最悪約束をすっぽかすってことも…」
銀髪の少女がそう言いかけた時、不意に駅舎の出入り口の方から彼女たちにとって聞き覚えのある声が聞こえた。パッと3人が声のする方を見ると、おーいと赤髪でノースリーブの黒ワンピース、赤いファーコートという出立ちの少女が駆け寄ってくる。
「スカーレット姉さま!」
「噂をすれば」
「…ケッ」
3人のそれぞれの反応を見て、“スカーレット”と呼ばれた少女はにこりと笑い、彼女たちの前で立ち止まる。
「ご機嫌よう、あたしの可愛い妹たち」
スカーレットがそう言うと、緑髪の少女はわーいと駆け寄る。
「姉さま久しぶり〜」
「ご機嫌よう“グリーン”」
スカーレットは少しかがんで“グリーン”と呼んだ少女の頭を撫でる。グリーンはえへへ〜と笑顔を見せた。
「よかったね、グリーン」
スカーレットによしよししてもらえて、とグリーンに空色の髪の少女が近付いてくる。
「えへへ、もちろん“スカイ”姉さまも好きだよ〜」
そう言いながらグリーンはスカイと呼んだ少女に抱きついた。スカイはグリーンの頭を撫でようとするが、そこへケッと銀髪の少女が吐き捨てた。

  • 鉄路の魔女
  • やっと完成したので投稿します!
  • お待たせしました!
レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。