片手で扱える短いメイスを手にしていたミドリちゃんが、大回りで私の背後に回ろうと駆け出す。なるほどこれは長く重いランスを持ったアオイちゃんには難しい動きだろう。そう思ってアオイちゃんの方に視線を戻そうとしたときだった。
「あぐっ……」
脇腹に何かが勢い良く突き刺さった。アオイちゃんのランスじゃない。あれほど重くは無い、むしろ軽く速度だけのある弾丸でも食らったみたいな……。
「うっ、がっ、あがっ」
その『弾丸』は更に撃ち込まれる。アオイちゃんの仕業みたいだ。首や背中にも『弾丸』が突き刺さり、その度に鋭い痛みが走る。
「痛いなァ……ごふっ」
アオイちゃんに向き直ろうとして、後頭部に強い衝撃を受けた。ミドリちゃんに殴られたんだ。
「うぐぅぇぇ…………ひどいことするゥ……」
これ以上殴られても困るので、取り敢えず棍棒を振り回して牽制する。と、またアオイちゃんの射撃だ。流石に慣れてきたので、機械腕で防ぎながら、彼女の方に馬脚を走らせる。アオイちゃんが反応する前に距離を詰め、棍棒で掬い上げるように吹き飛ばした。しかし彼女もただじゃやられてくれないみたい。向こうもきっちり、弾丸で反撃してきた。痛い。