「…ぷはっ」
大学の校舎の人気のない階段の踊り場で、キヲンは塞がれていた口を解放されてへたり込む。
「あうー、息が止まるかと思ったじゃーん」
ヒドいよーベニ〜とキヲンは紅色の髪のコドモこと中紅の方を振り向く。
「だってきーちゃんが探検のことを言おうとするからじゃない」
あの人たちを驚かすんでしょう?と中紅は腰に手を当てキヲンの顔を覗き込む。
頭巾を外したその頭には、狐のような耳が生えていた。
「そうだよ」
きーちゃんすぐに話そうとするんだもんと緑髪のコドモことタイサンボクがマウンテンパーカーのフードを外しながら言う。
タイサンボクの頭には、木々に茂るような葉が髪の毛のように生えていた。
「まぁまぁとにかく」
水色の髪のコドモことクロミスが手を叩いて3人の注目を集める。
薄手のパーカーのフードを外した頭には、魚のヒレのような耳が生えていた。
「さっさと探検を始めよう」
早くしないと遅くなっちゃうから、とクロミスは背後の地下へ続く階段を見やる。
そこから続く下の踊り場には“関係者以外立ち入り禁止”の張り紙が貼られた机がいくつかバリケードのように置いてあった。