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鉄路の魔女 〜Megalopolitan Witches. Act 8

「確かにそうだけども」
奴らは私らの糧を無駄に食い散らかすんだぞ!とシルバーは言うと、オレンジはそうねと答える。
「彼女たちはわたくしたち魔女の糧、イマジネーションをむさぼる邪魔者でしょうね」
それでも、とオレンジは和傘を下ろしながら続ける。
「わたくしにとってはいつまで経っても“仲間”なのだから」
わたくしはつい、守りたくなるものよとオレンジは呟いた。
「…そう」
昔から変わらないわね、姉さんとスカーレットはゆっくり立ち上がる。
「過去にこだわり、やたらと過去を大切にする…」
さすが、最古の“地下の魔女”とスカーレットはオレンジの方に歩み寄る。
「でもねぇ」
スカーレットは顔を上げる。その目は真っ直ぐに姉の姿を見据えていた。
「あたしたちには今しかないの」
この街が、世界が、いつ毀(こわ)れるかも分からないからとスカーレットは続ける。
「あたしたちは、今のために走り続けるわ」
スカーレットはそう言い切った。オレンジは暫くの沈黙の後、そうと呟きこう言った。
「それなら、わたくしを倒してから行きなさい!」
オレンジは傘の柄をバッと取り外し、中から仕込み刀を取り出した。
「言われなくともそのつもりよ‼︎」
スカーレットは再度赤い鎌を生成すると、それを構えて走り出した。オレンジもまた仕込み刀を構えて駆け出す。路地の真ん中で、2人の得物がぶつかり、甲高い音が鳴る。
「相変わらず頑固なのね姉さん」
「貴女も変わらないわ」
姉妹は鍔迫り合いをしながらそんなことを言い、2人はパッと後方へ飛び退く。そのまま2人は暫く武器を向け合いながら睨み合っていたが、そこへ突然オレンジの頬を銀色のナイフがかすめる。オレンジはスカーレットの後ろからシルバーがナイフを投げてきたことに驚くが、その隙にスカーレットが鎌で斬りかかる。しかしオレンジはそれを刀で防いだ。
「さっさとそこを通して下さらない?」
スカーレットは鎌で相手を押し切ろうとするが、オレンジは後ずさりつつもそれに耐える。

  • 鉄路の魔女
  • 多分今週中に終わる!
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