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花街辻斬り 3

「ではお主、今までの事や、自分の名すら覚えていない、と...?」

私は黙って頷く。
うーん、と二人揃って考え込み、暫くたった頃。
紅さんが手を叩いた。

「そうでありんす、お主、何か荷物などは持っていんすか?手拭いでもかまいんせん。もしや、名がかいてあるかも...!」

成程。それは盲点だった。
慌てて懐に手を突っ込む。
出てきたのは、小刀、手拭い、空の財布だった。
いずれにも記名はなく、家紋すらない。

「また振り出しでありんすね...」

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