全高約7mにもなる大型怪人の拳を回避しつつ、格闘家風の長身の魔法少女【ドゥレッツァ】は大通りを駆けながら怪人を誘導していた。
「うおっ危なっ」
正中線を捉える一撃を受け流し、ドゥレッツァは魔法を発動する。怪人の腕を横合いから弾いた衝撃が、一瞬遅れて爆発的に膨れ上がり、怪人は反動で体勢を崩した。
「……ジャストタイミング」
うつ伏せに倒れ込んだ怪人の身体は、大通りを横切る道路にはみ出していた。その道路を、直径2mほどの光線が通過する。光線が止んだ後には、上半身を消し飛ばされた怪人が倒れていた。
「ふぅ……助かりました、先輩」
光線の飛んできた方に顔を向ける。天使のような姿の魔法少女【ヘイロー】が、ドゥレッツァの近くにふわりと着地した。
「いやいや、良い誘導だったよ、はーちゃん」
「光栄です……疲れたぁ」
2人の元に、魔女風の衣装を纏った魔法少女【フレイムコード】と、学校制服姿の少女が近寄って来た。
「あ、ホタちゃん、ヒオちゃん。街の人たちの避難誘導ありがとね」
変身状態を解除したヘイロー、フウリが2人に向けて手を振った。
「うん、2人も討伐お疲れ様」
変身解除したフレイムコード、ホタルコも片手を軽く挙げて応えた。ヒオは軽く会釈して応じる。
「………………さてと、アレが出てくる前に私はちょっと失礼しようかな。あ、ヒオちゃん借りるね」
フウリは再び変身し、ヒオを背後から抱き締め飛び去った。