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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 21.ティアマト ①

寿々谷は、ありふれた街だ。
人口は数万人程で、駅前だけが栄えている微妙な所。
駅から離れてしまえば住宅地がずっと広がるし、他の市や町との境界付近には田園地帯が出てくる地方の街。
少し前まで、わたしにもそう見えていた。
…しかし、今は違う。
この街、寿々谷は常識の外側の存在が多く暮らす不思議な街だったのだ。
当たり前のように常人の目につかない所で常識の外の存在がその力を発揮している。
この街は、”普通の街”ではなかったのだ。
そんな街のショッピングモールの屋上で、わたしは”常識の外”の存在の会話を聞いていた。
「いや~小学校の頃から一緒の榮もヴァンピレスと繋がっているとは、夢にも思わなかったよー」
やー、大変大変と前髪をカラフルなピンで留めた短髪の少女、雪葉は頭をかく。
「…本当よ」
まさかあたし以外の異能力者であいつに協力している子がいるなんて、全くの想定外だったわと長髪にメガネの少女、穂積は呟いた。

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