「_あ、待ってリサちゃん、教室に忘れ物してきちゃった」
さっきまでまあまあ格好いいことを言っていたシオンの、突然の忘れ物発言にエリザベスは心底安心したように肩から力を抜いた。
「なにを忘れましたの?」
「プールバッグ」
「まあ大変」
同級生たちはみんな下駄箱へ流れたようで、教室には誰もいなかった。
「そういえば、シオンさんはとても速く泳ぎますのね」
「プール好きなんだぁ。バタフライが得意なんだけど中々やらなくて残念だよ」
そんな会話を交わしつつ、教室を出ると水道の水が出しっぱなしになっていた。
「…さっき水出てたっけ」
「さあ…とりあえず止めます?」
「止めよっか」
シオンが蛇口を閉めようと手を伸ばすと、蛇口からでる水の量と勢いが一気に増した。
「うわっ」